桜まち
誤解?
―――― 誤解? ――――
ウキウキと自宅へ戻り、櫂君へLINEで報告しようとスマホを構えるとインターホンが鳴った。
はいはい、どちらさまでしょうか?
携帯をテーブルに置き、インターホンに出ると、なんと驚きのお隣さんだった。
ついさっきすったもんだしたモチヅキアツヒロさんが、覗いたドアスコープの前に立っていて私は目を疑った。
あ、今度、名前の漢字を訊いてみよう。
教えてくれるかどうかは別だけど。
それにしても、何の用事だろう?
やっぱり、警察へ訴えられるのだろうか。
恐る恐るドアを開けると、なんとなく神妙な面持ちで彼はドアの前に立っていた。
私は、まず謝ろうと彼の顔を見た瞬間にごめんなさい。と頭を下げた。
電車内でチラ見していたことや、会社まで着いていってしまったことをだ。
「でも、本当にこの家だけは、違うんです。さっきのは、本当に私のお祖母ちゃんで、ここの持ち主の大家で、私の祖母で、ずっと前から私はここに住んでいて。けっして追っかけてきたわけじゃなくて」
同じことを繰り返しているのにも気づかずに賢明に釈明していると、突然、ぷっと噴出して笑われた。
モチヅキさんは、クスクスと笑いながらも話を続ける。
「いや、うん。俺もちょっと言い過ぎだったかもと思った。それに、思い出したんだよな」
「え?」
何を?