コイツ、俺の嫁候補。
隣のテニス部とは、忙しくてほとんど関わらなかった。
けれど、一日目が終了し片付けをしている最中、一人ゴミを捨てに行く奈々ちゃんに話し掛ける樋田先輩を見付けた。
奈々ちゃんは驚いて目を見開いている。
……先輩、何を言うつもりなんだろう?
かなり挙動不審だけど、他の模擬店に隠れながらそーっと近付き、二人の会話を盗み聞きする。
「奈々ちゃん、明日の後夜祭なんだけど」
「はい……?」
「一緒に花火見ない?」
後夜祭では毎年少ないけれど花火が上がる。そのお誘いか……。
少しハラハラしていると、先輩はまだ紫色をしている口元で笑みを作ってこう言った。
「花火見ながら話しよう? 奈々ちゃんのこと、もっとよく知りたいんだ」
──先輩……
あたしが言ったこと、ちゃんと伝わったって思ってもいいのかな。
頬を染めた奈々ちゃんは、とても嬉しそうに笑って「はい!」と返事する。
二人の和やかな雰囲気に、あたしは胸を撫で下ろした。
……先輩、殴っちゃってごめんなさい。
でもあれは、あたしの愛のムチですからね。
けれど、一日目が終了し片付けをしている最中、一人ゴミを捨てに行く奈々ちゃんに話し掛ける樋田先輩を見付けた。
奈々ちゃんは驚いて目を見開いている。
……先輩、何を言うつもりなんだろう?
かなり挙動不審だけど、他の模擬店に隠れながらそーっと近付き、二人の会話を盗み聞きする。
「奈々ちゃん、明日の後夜祭なんだけど」
「はい……?」
「一緒に花火見ない?」
後夜祭では毎年少ないけれど花火が上がる。そのお誘いか……。
少しハラハラしていると、先輩はまだ紫色をしている口元で笑みを作ってこう言った。
「花火見ながら話しよう? 奈々ちゃんのこと、もっとよく知りたいんだ」
──先輩……
あたしが言ったこと、ちゃんと伝わったって思ってもいいのかな。
頬を染めた奈々ちゃんは、とても嬉しそうに笑って「はい!」と返事する。
二人の和やかな雰囲気に、あたしは胸を撫で下ろした。
……先輩、殴っちゃってごめんなさい。
でもあれは、あたしの愛のムチですからね。