コイツ、俺の嫁候補。
そして一般公開二日目。
昨日と同じようにポップコーンを売るあたし達の前には、賑やかな団体が。
「兄ちゃんマジメにやってるかー?」
「当たり前だろ。ほら、お前らも食えよ」
「ポップコーンも飽きましたよ……」
「キャラメルなんて贅沢なもんは家じゃ出ねぇだろ! 俺が買ってやるから持ってけ!」
那央に半強制的にポップコーンを渡されるのは、片霧家の弟分である遼くんと翔くん。
その隣では長女の美央ちゃんが、笑いながらお財布を取り出している。
「いーよ那央、払うよ。あ、縁さんこんにちは! 私チョコください」
「はいはーい、ちょっと待っててね」
皆を引き連れてやってきた美央ちゃんはさすがお姉さんだ、しっかりしてる。
でも、華ちゃんの姿は見当たらない。
同じことを思ったらしい那央が、キョロキョロしながら聞く。
「あれ、華は?」
「友達と行くって言ってたよ。そのうち来るんじゃない?」
だよね。あれだけ那央のことが好きなら、来ないってことはないだろう。