コイツ、俺の嫁候補。

そして一般公開二日目。

昨日と同じようにポップコーンを売るあたし達の前には、賑やかな団体が。



「兄ちゃんマジメにやってるかー?」

「当たり前だろ。ほら、お前らも食えよ」

「ポップコーンも飽きましたよ……」

「キャラメルなんて贅沢なもんは家じゃ出ねぇだろ! 俺が買ってやるから持ってけ!」



那央に半強制的にポップコーンを渡されるのは、片霧家の弟分である遼くんと翔くん。

その隣では長女の美央ちゃんが、笑いながらお財布を取り出している。



「いーよ那央、払うよ。あ、縁さんこんにちは! 私チョコください」

「はいはーい、ちょっと待っててね」



皆を引き連れてやってきた美央ちゃんはさすがお姉さんだ、しっかりしてる。

でも、華ちゃんの姿は見当たらない。

同じことを思ったらしい那央が、キョロキョロしながら聞く。



「あれ、華は?」

「友達と行くって言ってたよ。そのうち来るんじゃない?」



だよね。あれだけ那央のことが好きなら、来ないってことはないだろう。

< 119 / 314 >

この作品をシェア

pagetop