コイツ、俺の嫁候補。
「その麻由美ちゃんって子、さっき体育館のとこで見たぞ。今ならまだいるんじゃねーか?」

「ほんと!?」



弾かれるように立ち上がり、涙を拭いた華ちゃんに、那央が声を掛ける。



「華、麻由美ちゃんもそうだけど、縁だってもう立派な友達だろ。大事にしろよ」



キョトンとするあたしと、華ちゃんの視線がぶつかる。

少し恥ずかしそうに一瞬目を逸らした彼女は、もう一度あたしを見ると、初めて明るく笑ってくれた。



「ありがとう、縁!」

「いきなり呼び捨てかい!」



なんて、つっこんでしまうのは照れ隠しかもしれない。

でも、華ちゃんとの隔たりがなくなったようで、あたしはとても嬉しかった。


笑い合った後、元気に走っていく華ちゃんを見送り、あたしと那央は安堵の息を吐き出す。



「あいつも悩んでたんだな……。最近ちょっと元気ないような気はしてたんだけど」

「うん。でもこれで少しはラクになるんじゃないかな」

「ありがとう。縁のおかげだ」



そんなふうに言われるとなんか照れる……けど、嬉しい。

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