コイツ、俺の嫁候補。
老人ホームを後にしたあたしとお母さんは、そのままショッピングモールへ向かった。
夏休み中の今、平日でも家族連れで賑わっている。
「縁、これなんて可愛いじゃない!?」
「げ。着れないよ、こんなゴスロリみたいな服~!」
お母さんが指差したのは、フリフリレースに花柄の、ものすごいボリュームのあるジャンパースカート。
見るだけで胸やけしそう……。
デートの時のための勝負服を買ってあげる!と言って、ノリノリのお母さんに無理やり連れてこられたのだけど。
Tシャツにパンツスタイルが定番のあたしには、さすがにその勝負は出来ない。
「縁だって可愛い格好したら絶対似合うのに」
「だからってこれは……。まだこっちの方がマシ」
あたしは目についた隣のお店のオフホワイトのワンピースを触ってみる。
丈が長めで適度にふわふわしてて、透かし網のニットとかデニムのトップスとかに合いそうな感じ。
これならあたしにも着れそう。
まぁ、制服以外ほとんどスカートを履かないあたしにはこれもかなり冒険なんだけど。