コイツ、俺の嫁候補。

老人ホームを後にしたあたしとお母さんは、そのままショッピングモールへ向かった。

夏休み中の今、平日でも家族連れで賑わっている。



「縁、これなんて可愛いじゃない!?」

「げ。着れないよ、こんなゴスロリみたいな服~!」



お母さんが指差したのは、フリフリレースに花柄の、ものすごいボリュームのあるジャンパースカート。

見るだけで胸やけしそう……。


デートの時のための勝負服を買ってあげる!と言って、ノリノリのお母さんに無理やり連れてこられたのだけど。

Tシャツにパンツスタイルが定番のあたしには、さすがにその勝負は出来ない。



「縁だって可愛い格好したら絶対似合うのに」

「だからってこれは……。まだこっちの方がマシ」



あたしは目についた隣のお店のオフホワイトのワンピースを触ってみる。

丈が長めで適度にふわふわしてて、透かし網のニットとかデニムのトップスとかに合いそうな感じ。

これならあたしにも着れそう。

まぁ、制服以外ほとんどスカートを履かないあたしにはこれもかなり冒険なんだけど。

< 137 / 314 >

この作品をシェア

pagetop