コイツ、俺の嫁候補。
「あぁ、これもいいじゃない! すごい可愛いわよ。よし、これ買ってあげる」

「えぇ!? いいよ!」

「ダーメ。こうでもしないと絶対自分では買わないでしょ? 那央くんに愛想尽かされるわよ!」

「ぅぐ……」



そう言われると途端に萎縮してしまう。

やっぱり那央も、彼女には女の子らしい格好してもらいたいものなのかな。


夏休みに入ったものの、那央も長期休みは短期のバイトをするだとかで、まだ一度もデートらしいデートをしていない。

デート未経験の私には、何をどうしたらいいのかもさっぱりわからず、悩みの種だった。



結局、ほぼ強制的にワンピースを買ってもらい、その袋とアイスクリームを持ってフードコートの椅子に座った。

お母さんと買い物に来た時は、最後にこうやって二人でスイーツを食べて帰るのがお決まり。



「そっか、縁も恋をする歳になったのかぁ……」



どこか遠くを眺めながら、嬉しそうな少し寂しそうな、複雑な表情で呟くお母さん。

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