コイツ、俺の嫁候補。
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そして迎えた、クリスマス当日。
あたしはバッグに必要最低限の荷物を、ついでに緊張と不安も詰め込んで準備していた。
今日は土曜日で、バイトが終わったらそのまま片霧家に向かうつもり。
あたしが泊まるということだけ皆に話したら、那央いわく大喜びだったらしく、特別にピザでも取ってパーティーしよう!なんて話になったらしい。
それは楽しみなんだけど、その後の夜のことを考えると変な緊張ばかりしてしまう。
「行ってきまーす」
とりあえず朝食を済ませ、いつも通りに家を出ようとすると、「縁」とお母さんに呼び止められた。
「ん?」
「今日は……本当に舞花ちゃんの家に行くのよね?」
ほんの少し探るような目であたしを見つめるお母さんに、ギクリとする。
けど、バレないように平常心平常心……!
「うん、そうだけど?」
「……そう。お家の方に迷惑かけないようにね」
「わかってる。大丈夫だよ」