コイツ、俺の嫁候補。

 *

そして迎えた、クリスマス当日。

あたしはバッグに必要最低限の荷物を、ついでに緊張と不安も詰め込んで準備していた。


今日は土曜日で、バイトが終わったらそのまま片霧家に向かうつもり。

あたしが泊まるということだけ皆に話したら、那央いわく大喜びだったらしく、特別にピザでも取ってパーティーしよう!なんて話になったらしい。

それは楽しみなんだけど、その後の夜のことを考えると変な緊張ばかりしてしまう。



「行ってきまーす」



とりあえず朝食を済ませ、いつも通りに家を出ようとすると、「縁」とお母さんに呼び止められた。



「ん?」

「今日は……本当に舞花ちゃんの家に行くのよね?」



ほんの少し探るような目であたしを見つめるお母さんに、ギクリとする。

けど、バレないように平常心平常心……!



「うん、そうだけど?」

「……そう。お家の方に迷惑かけないようにね」

「わかってる。大丈夫だよ」

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