コイツ、俺の嫁候補。
バイトが終わり、ロッカーに押し込んでいたお泊りグッズと、ケーキの箱を持ってバックルームから出ると。



「お疲れさーん」

「那央!」



マフラーをぐるぐる巻きにした那央が、コミック雑誌を立ち読みしていた。

今日は何の予定もないから迎えに行くって言ってくれたんだよね。



「見てこれ! ケーキもらっちゃった。皆で食べよ」

「こんなんもらえんの? すげーな。ま、あいつらにほとんど食われるだろうけど」



そんな話をしながら、那央はあたしの荷物を持ってくれて、もう片方の手を繋いで歩く。

まだ5時だというのに外はもう真っ暗で、寒いけど那央と一緒だとあったかい。


もう何度かお邪魔している片霧家に着き、慣れた動作で部屋に上がると。



──パァン!!


「ひゃっ!?」

「「メリークリスマ~ス!!」」



大きな弾ける音にビクッと肩をすくめると、クラッカーを手にした皆が、キョトンとするあたしを見て大笑い。



「俺らのクリスマスってこんな感じ」



いえー!と盛り上がる皆を冷静に指差す那央に、あたしは思わず吹き出した。

< 180 / 314 >

この作品をシェア

pagetop