コイツ、俺の嫁候補。
居間のテーブルには、すでにオードブルやピザなどが所狭しと並べられている。

その周りには片霧一家が全員集合。

その中心にいるのは、初めて会うお父さんだ。



「君が……那央と交際しているという牧野縁さんか」

「はい、はじめまして……!」



うわ、なんかすごい威圧感!

ダンディーで二枚目俳優さんみたいにカッコいいおじ様だけど、目力が強い。

那央は『父さんはちょっと変わってるけど全然恐くないから』って言ってたけど、結構恐そうだよ!?



「あの、家族水入らずで過ごしてる時にお邪魔してしまって、本当にすみませ──」

「そんなことはどうでもいい」

「え」

「那央! こんなに可愛いお嬢さんをどーして父さんにだけ紹介してくれなかったんだ!!」



子供みたいに悔しがるお父さんに、那央はげんなりした様子で「うぜぇ」と呟いた。



「縁ちゃん、堅苦しい挨拶はいらんから座りなさい! もう君は家族同然なんだからほらほら!」

「は、は、はい!!」

「あなた、迫力があり過ぎよ。縁ちゃん怯えてるじゃない」



あたしを促すお父さんを、冷静に宥める美魔女のお母さん。

それをのほほんと眺める子供達……やっぱり片霧家って皆“濃い”。

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