コイツ、俺の嫁候補。
「──縁」
初めて上がった二階の部屋で、窓から夜空を眺めていると那央が入ってきた。
ここは那央と凪さんが使っていた部屋で、凪さんが出ていってからは那央が一人で使っているらしい。
「紅茶、よかったら飲んで」
「わ、ありがとう」
那央が持ってきてくれたカップから、白い湯気が立ち上る。
腰を下ろすと、小さなガラステーブルに置かれたそれに口を付けた。
ここで一晩過ごすのか……と再び緊張し始めた身体を、温かい紅茶でなんとか落ち着ける。
料理もケーキもたらふく食べた後、あたしがどこで寝るかで一悶着あり、
結局“絶対手を出さないこと!”を条件に、那央が権利を勝ち取った。
皆はもう各々の部屋へ戻り、さっきまでの騒ぎが嘘のように静まり返っている。
「よし、じゃあ風呂入るか一緒に」
「──ごほっ!」
突然那央が平然と言うもんだから、むせて咳込むあたし。
い、一緒にお風呂……!
小首をかしげながら、あたしの顔を覗く那央。