コイツ、俺の嫁候補。
「あれ、忘れた? “風呂とベッドは一緒”っての」

「お、覚えてるけど……! いきなり二人でお風呂に入るなんて無理に決まってるじゃん!」

「そ? じゃあ、ちゃんと段階踏んでこうか」



段階?

と、頭にハテナマークを浮かべていると。

那央があたしの腕を優しく掴んで立たせ、ベッドに座らせた。そして。



「ん──っふ……!」



強引に塞がれる唇。

酸素を求めてわずかに開けた隙間から、舌を差し込まれる。

舐められて、絡め取られて、あたしは彼にされるがまま。


こんなキス、初めて……

頭の芯からぼーっとして、とろけてしまいそうになる。



「縁……」



キスの合間に、熱く切なげな吐息混じりに名前を囁かれると、たちまち全身から力が抜けていく。

いとも簡単に、あたしはベッドに押し倒されていた。

上に覆いかぶさる那央は、オトコの顔をしてあたしを見つめる。



「ちょっ、絶対手は出さないって……!」

「あんなのただの口約束だろ。こんなオイシイ状況で我慢出来るか」

「ウソツキーー!!」

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