コイツ、俺の嫁候補。
必死で抵抗しようとするあたしに構わず、那央はいろんな所に唇を触れさせる。

おでこにほっぺ、耳……

そのくすぐったさと快感に思わず身をよじった。



「やぁ……!」



覚悟してなかったわけじゃないけど、こんなふうにされるとやっぱり緊張はハンパじゃなくて。

もう、どうにかなりそう──!




「……なんて、冗談だよ」

「ふぇ?」



ふいに顔を離した那央を泣きそうになりながら見つめると、そんなあたしの髪を撫でながらふっと笑う。



「縁がちゃんと心の準備出来るまで待つから」

「那央……」

「お前のやらしー声とか誰かに聞かせたくねーし」



ぼっ、と沸騰したように顔を熱くしていると、那央はあたしの隣に移動して寝転がる。



「ほら、寝るぞ」

「え!?」

「“ベッドは一緒”だろ? 今日は抱き枕で許してやる」



ぽんぽんと自分の隣のスペースを叩く那央に、あたしは引きつった笑みを浮かべた。

たしかに隣で寝るだけならまだいいけど……

今日は完徹になるかもしれない。

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