コイツ、俺の嫁候補。

受験生には決戦の日となるセンター試験日である休日も、あたしは変わらずバイトに励んでいた。

交代時間の17時を迎え、最後の仕事で商品の品出しをしながら店内を回っていると。



「あれっ、縁ちゃん!?」

「へ?」



突然名前を呼ばれて、カップラーメンを補充していた手を止めた。

見上げると、そこにいたのは。



「え!? 凪さん!?」

「久しぶりー! 覚えててくれたんだ」



爽やかスマイルを振りまく彼は、那央のお兄さんである凪さん。

こんなとこで会うとは!



「縁ちゃん、ここでバイトしてたんだね。偶然こっちの方に用があったから寄ったんだけど、びっくりしたよ」

「あたしもです!」



凪さんとの思わぬ再会になんだか嬉しくなっていると、先輩から「牧野さん上がっていいよー」と声が掛かる。

返事をしつつ、あたしはあることを思い付いた。



「凪さん、お腹空いてませんか?」

「超減ってる。それで今何か食べる物買いに来たんだよね」

「じゃあ、肉まんを差し上げます!」

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