コイツ、俺の嫁候補。
コンビニから程近い公園には、夏はこの時間もまだ子供達が遊んでいたりするけど、さすがに今の時期はもう誰もいない。

噴水も止まってガランとしている広場へ来ると、街灯に照らされるベンチに二人で腰掛けた。



「とりあえずあったかいうちに食べようか」

「はい」



お礼を言ってあたしから肉まんを受け取った凪さんは、さっそく豪快にかぶりつく。

凪さんとこんな状況になっているなんて、とっても不思議な気分……。

でも、やっぱり雰囲気がどことなく那央と似てるせいか、二人でいても嫌じゃない。



「あの、聞きたいことって……何ですか?」



嫌じゃないけど、早くその疑問は解消したい。

白い湯気を漂わせながら尋ねると、肉まんの残りを口に放り込み、あっという間に食べ終えた凪さんはこう言った。



「たいしたことじゃないんだけどさ、縁ちゃん進路のことで那央に何か言った?」

「え?」

「“離れるのはイヤ!”とかそういうこと」



──離れるのは嫌?

どういうこと?

進路のことでって……那央は、ここから離れるつもりなの?

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