コイツ、俺の嫁候補。
凪さんを見つめたまま固まるあたし。

その様子がおかしいと思ったのか、彼は首をかしげてあたしの顔を覗き込む。



「あれ……もしかして聞いてない?」

「何を、ですか? あたしは何も聞いてません……」

「あー……。……ゴメン! 今のなかったことにしよう! ねっ」

「出来るわけないじゃないですか!!」



キッと凪さんを睨むと、「だよねぇ」と苦笑している。

こんな意味深なことを言われてそのままになんてしておけないよ!



「教えてください凪さん! 那央は、これからどうするつもりなんですか?」

「んー、俺から言っちゃっていいのかな……」

「あたしは今すぐ知りたいんです」



まっすぐ凪さんの目を見つめて言うと、観念したように頷き、話し始めてくれた。



「……那央には小さい頃から将来の夢があって、俺はずっとそれを叶えるんだと思ってたんだけど、最近迷ってるみたいでね」

「夢?」

「うん。警察官になりたいらしい」

「け、警察──!?」



えぇぇ、あの那央が!?

意外な職業に目を丸くするあたしに、凪さんがふっと笑う。

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