コイツ、俺の嫁候補。
凪さんと話してから、あたしの気持ちはずっと塞いだまま。
那央と遠恋になるかもしれないということだけじゃなくて、あたしに何も話してくれないことが、とても寂しかった。
でもその理由も、この先のことをどう考えているのかも、本人に確かめないといけないよね。
「昨日、凪さんに会ったよ」
月曜日の下校中、あたしがさっそく切り出すと、那央は目を見開く。
「は!? 何で!?」
「バイトしてたら偶然凪さんが来たの」
「な、何もされなかったか!?」
「指一本触れられませんでした」
あたしの両肩に手を置いて、必死に確認する那央に苦笑い。
普段の凪さんの素行が気になるところだけど、今はそれはどうでもよくて。
「それで聞いたんだけど……那央って、警察官になりたいんだ?」
彼を見上げながら言うと、あたしの肩を掴んでいた手の力がふっと緩んだ。
そして、綺麗な顔が次第に歪められていく。