コイツ、俺の嫁候補。

凪さんと話してから、あたしの気持ちはずっと塞いだまま。

那央と遠恋になるかもしれないということだけじゃなくて、あたしに何も話してくれないことが、とても寂しかった。


でもその理由も、この先のことをどう考えているのかも、本人に確かめないといけないよね。




「昨日、凪さんに会ったよ」



月曜日の下校中、あたしがさっそく切り出すと、那央は目を見開く。



「は!? 何で!?」

「バイトしてたら偶然凪さんが来たの」

「な、何もされなかったか!?」

「指一本触れられませんでした」



あたしの両肩に手を置いて、必死に確認する那央に苦笑い。

普段の凪さんの素行が気になるところだけど、今はそれはどうでもよくて。



「それで聞いたんだけど……那央って、警察官になりたいんだ?」



彼を見上げながら言うと、あたしの肩を掴んでいた手の力がふっと緩んだ。

そして、綺麗な顔が次第に歪められていく。

< 206 / 314 >

この作品をシェア

pagetop