コイツ、俺の嫁候補。
あれから、気まずさを残したままあたし達は別れた。
『縁は、俺が帰ってくるのを待っていられるか?』
あの問い掛けに、結局きちんとした答えを出せなくて。
泣きそうな顔でただ俯くあたしを、那央は切なげに見つめているだけだった。
学校で会った時は、意識的にその話は避けて普通に接しているけど、お互い気を遣っているのがわかって、なんだかぎこちない。
そして、どうしようもない寂しさがいつも心に住み着いている。
だいたい一緒に帰っている金曜日の今日は、「担任と話があるから」と言って断られてしまった。
無性に心細くて、誰かと帰りたい気分。舞花でも誘おうかな……。
「ねぇ舞花、今日またドーナツ食べて帰らない?」
気分を上げるためにも、明るく提案してみた……のだけれど。
舞花はぎゅっと目を閉じ、あたしに向かって両手を合わせる。
「ごめん、縁! 今日は彼の買い物に付き合う約束で……」
「あ。あー……そっか、そうだよね。こっちこそゴメン」
そうだ、舞花にも彼氏が出来たんだから、これまでみたいに急に誘っちゃダメだよね。