コイツ、俺の嫁候補。
「もう学校終わったの? 早くない?」

「今日は5時間目までなの。てか、お母さんは何でこんなとこに……」

「これからおばあちゃんの様子見に行こうと思ったのよ。時間が出来たから」

「あ、そうなんだ」



こんなところで会うなんてすごいタイミング。

と、まだ驚いているあたしの隣に、お母さんは視線を移す。



「もしかして……あなたが那央くん?」



うわ、そうだ! 那央の存在が頭から抜けてた!

ドキーンと心臓を踊らせて動揺するあたしと真逆で、那央は微笑を浮かべて姿勢を正す。



「はじめまして。縁さんとお付き合いさせていただいてます、片霧那央です」



丁寧な挨拶をしてお辞儀をする彼に、お母さん共々あたしまでびっくりしてしまう。

あんた、そういうキャラだっけ?


すぐに好印象を受けたらしいお母さんは、「会えて嬉しいわ~!」とニッコニコの笑顔だ。

彼氏と母親が顔を合わせるって……あたしはなんだかむず痒いよ。



「そっか~デート中だったかぁ。せっかく会ったから、縁も一緒におばあちゃんのとこ行ければって思ったんだけど……」

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