コイツ、俺の嫁候補。
テンションが上がって抱きついてしまうのは、どうやらおじさんの癖みたいなものらしい。

那央に会えて嬉しそうだし、なんだか感動している。


そんな憎めないおじさんだけど、お母さんと笑い合っているところを見ると、この間の抱き合っていた場面を思い出して目を逸らしてしまう。

お母さんを抱きしめていたのは、あたしや那央にするのとは意味が違うもん。

やっぱり、複雑な想いは消せない。



「じゃあ、おばあちゃんのところに行こうか」



ざわめく胸を抑えて、おじさんについて中へ進む。

その途中、彼は真剣な顔になっておばあちゃんのことについて話してくれる。



「認知症っていうと、普通は発症から何年もかけてゆっくり進行していくものなんだ。でも、トメさんの場合はそれが異常に早い」

「そうなの……?」

「うん。普通の何倍ものスピードで進行してるから、君達はかなり戸惑うかもしれない。辛いと思うけど、もちろん僕も協力するから、一緒に頑張っていこうね」

< 219 / 314 >

この作品をシェア

pagetop