コイツ、俺の嫁候補。
──『縁の綺麗な長い髪には、ピンクが似合うねぇ』
まだ5、6歳の頃、あたしの長かった髪を編みながら言っていたおばあちゃん。
あの時の笑顔や、シワのある手の温もりを思い出して、また涙が溢れた。
おばあちゃんの記憶は、あの時のまま止まっているんだね──。
「それと、君のお母さんも」
おじさんのまっすぐな瞳としっかり視線を合わせる。
「縁ちゃんがいなくてもいいなんて、さっちゃんは一度も考えたことはない。君のために、再婚はやめようと言い出したくらいなんだから」
「え……?」
──再婚をやめる?
お母さんを見やると、頬を濡らしながらほんの少し苦笑を浮かべた。
おじさんが言うには、あたしが無理して合わせてることはわかっていたから、お母さんは再婚を諦めようとしたらしい。
それをおじさんが説得していたのだと。
知らなかった……二人の間でそんなやり取りがあったなんて。
あたしは本当にバカだ。
お母さんが、もう一度女としての幸せを手に入れるチャンスを潰そうとした。
あたしの、ただのワガママで──