コイツ、俺の嫁候補。
「驚かせてごめんなさいね。彼は私の執事みたいなものなのよ」

「しっ、執事!?」

「何かおかしいか」

「い、いえ……!」



1ミリ足りとも口角を上げない彼に、あたしはぷるぷると首を横に振る。

執事って言うより、SPと言った方がしっくりくる気がするけど……。

というか、そんな存在がいるってことは、カレンさんはやっぱりお嬢様なのね。



「藤丸(フジマル)は私と同い年で、ここの副部長でもあるの」

「カレン様のサポートを全面的に行っている。わからないことがあれば何でも聞け」



顔が恐くて聞けません

なんてことは言えるはずもなく、「わかりました……」と苦笑混じりに返事する私。

同級生を“執事みたいなもの”なんて言う、カレンさんと藤丸先輩の仲っていったい……。



「そうそう、まだあなたの名前を聞いてなかったわね!」



カレンさんの声にはっとした私は、自己紹介をしようと部員の顔を見回して姿勢を正す。

といっても、部員はカレンさん、藤丸先輩、那央以外に二人しかいないのだけど。

よくこんなんでクラブが成立してるな……と思いつつ、一応笑顔を作る。

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