コイツ、俺の嫁候補。
何の反応もないことを不思議に思って、おばあちゃんの顔を覗き込むと。

そのつぶらな瞳からぽろぽろと涙がこぼれていた。



「おばあちゃん!? どうしたの!?」



突然泣き始めたことにびっくりして肩に手を置くと、おばあちゃんは口元に手をあてながら震える声で言った。



「あの子がそんなふうに言ってたのかい……こんなに嬉しいことはないよ」



あたしの目にも熱いモノが込み上げる。


気持ち、ちゃんと伝わったんだ。

おばあちゃんも、泣いちゃうほどあたしのことを愛しく想ってくれてるんだ──。


切ないけど嬉しい気持ちで一杯で、あたしはしばらくおばあちゃんの小さな背中を撫で続けた。




そうしているうちに、あたしは一つの光を見付けた。

それは、将来おばあちゃんのような人を支えていきたいという目標。


老人を介護や支援するには、おじさんのような介護福祉士や看護士、様々な職種の人が関わっている。

その中に、あたしに出来ることがあるんじゃないかって考え始めたのだ。

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