コイツ、俺の嫁候補。


別れあれば出逢いあり。

この春、カセイクラブにはなんと10人以上の入部希望者が集まった。

体験入部でマフィンを作ってばらまいてたのが功を奏したのだろうか。


まさかこのあたしが部長なんて大役につくとは、一年前は思ってもみなかったし、それなりに不安もあったけど、意外となんとかなっている。

元々適当な部だから、あたしも気楽にやっているってこともあるけど、やっぱり那央がサポートしてくれてることが大きいと思う。

二人一緒なら何でも出来そうだな、なんて思ったりもして。



「愛の力は偉大ですよね」



本日の活動内容である手巻き寿司の具を用意しながら、うっとりと奈々ちゃんが言った。



「や、やだなーもう奈々ちゃんってば、突然そんなこと言って」

「今頃仲良く二人で異国の地にいるんですもんね……本当にすごい」



あたしの声が聞こえていないのか、感心したように呟く奈々ちゃん。

な、なんだ、あたしと那央のことじゃなくてカレンさん達のことだったのか!

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