コイツ、俺の嫁候補。
一方、座ったままの無愛想男子は。



「……米倉(ヨネクラ)です」



と、あたしをちらりと一瞥すると、名字をぼそりと呟いただけ。

こいつ……これからヨネクラじゃなくネクラ(根暗)って呼んでやろうか。

とりあえず自己紹介が済むと、カレンさんが銀色のボウルの中をおたまで掻き混ぜながら言う。



「本当はまだあと二人いるの、縁ちゃんと同じ二年生の男子が」

「あ、そうなんですか」

「片霧くんは捕まえたけど、あの子達は顔すら出さないんだもの。来週このホットプレートの上で焼くのは二人のうちどっちにしようかしら」



那央と奈々ちゃんが座っているテーブルの、真ん中に置かれたホットプレートのスイッチを入れたカレンさんは、真顔でものすごく怖いことを言う。

それに対して藤丸先輩も「いつもうるさい陸(リク)からでよろしいかと」と真面目に答えているし。

苦笑いしていると、那央が席を立ってあたしに近付き、こそっと耳打ちしてくる。



「このツートップは敵に回さない方がいいぜ」

「うん。今強く肝に命じたとこ」

「あと残りの二人は陸と海(カイ)っていって、ヤンキー二人組だけど根はいいヤツらだよ」

「ヤ、ヤンキー……」



部員の個性が強すぎるよ、このカセイクラブ……。

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