コイツ、俺の嫁候補。
舞花に宥められてなんとかその場の怒りは治まったものの、相変わらずあたしには敵が多いということを実感したのだった。



 *



「そんなことがあったんですか……」

「まぁ、あの後バスケの試合で那央のクラスと当たって、その中にボスギャルがいたから容赦なく攻めてやったけどね」



マンツーマンでボスギャルがあたしに付くたびに、お互い悪態をつきながらボールを取り合った。

なんとか勝利を収めたのはあたし達。


相手が那央のクラスだったから、当然あいつも応援しに来ていて。

『さすが縁だな。カッコ良かったぜ』

なーんて試合後に皆の前で言うもんだから、いろんな意味で非難の嵐だったけどね……。



「だから、きっと修学旅行も那央には近付けないんじゃないかな」

「モテる男子の彼女ってのも、ツラいですよねぇ……」



実感のこもった奈々ちゃんの呟きに、あたしは苦笑を返した。


せっかくの旅行だし、少しでもいいから那央と一緒に過ごしたいんだけどな。

それに、そのうちの一日は特別な日でもあるから──。




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