コイツ、俺の嫁候補。
1組もここに来てたのか。

相変わらず那央の周りには男女問わず友達がたくさんいる。

中にはもちろんボスギャルの姿も。

同じクラスの人達が一緒にいるのは当然だけど、やっぱり他の女子が近くにいるのは嫌だな……。



「あれじゃ近付けないね」

「んー……まぁ予想通りだけど」

「でも切ないじゃん、明日もこんな状態だったら」



明日──それはあたしの18回目の誕生日。

まさか修学旅行と重なるとはね。

少しでも那央と会えたらいいなと思ってはいるんだけど……



「たぶん那央は忘れてるよ」

「えぇ~そんなことないでしょう」

「だって前言ってたもん。『家族の誕生日すら覚えてない』って」



まぁ自分以外に8人もいるんだから無理ないか。

そんな那央のことだから、きっと付き合いたての頃に誕生日の話をしたことなんて忘れてるだろう。



「でもそれとこれとは別じゃない? なんてったって溺愛してる彼女なんだから~」

「溺愛ってほどじゃ……」



女友達と笑い合う那央に胸をチクリと痛ませつつ、溶けていくアイスを慌てて舐めた。

< 252 / 314 >

この作品をシェア

pagetop