コイツ、俺の嫁候補。
「ちょ、ちょい待ち!!」

「動くな」



那央を押し退けようとするも、あたしの髪の毛を掻き分けて首に顔を近付けられる。

ぎゃー! もし今日のお風呂で皆にバレたらどう言い訳したら……っ!!

そんなことを脳裏に過ぎらせて目をつぶると。


──チュッ。



「っ!?」

「どうせ拒否すると思ってたよ」



軽く首筋にキスをされただけで、那央は離れていく。

そして、首元に覚える違和感。

目をやると、今までそこになかったものが夕陽を受けて光り輝いていた。



「しょうがないからつけるのはコレにしとくわ」

「え……!?」



ピンクと白のマーブル模様の、小さくて丸いビー玉みたいな、綺麗なガラスがついたネックレス。



「これ──」

「俺からのプレゼント」



顔を上げると、夕陽のせいなのか照れなのか、少し頬を赤らめた那央が微笑んでいた。



「誕生日おめでと」

< 259 / 314 >

この作品をシェア

pagetop