コイツ、俺の嫁候補。
「さぁ焼くわよー」



カレンさんは意気揚々と言うと、熱したホットプレートに具だくさんの生地らしきものを乗せていく。

ジュウゥといい音がして、さすがのネクラも顔を上げ、その様子を眺め始めた。


これはたぶんお好み焼き?

少し小腹が減った頃だし、ちょっと嬉しいかも。

……なんて思いながら見ていたのだけど。



「あら? どうしてこんなにドロドロなのかしら。これじゃひっくり返せない、わ、よっと!」



うわぁぁぁ。

カレンさんの豪快な手さばきによって、ホットプレートの上の生地は見事にぐちゃぐちゃになっていく。

奈々ちゃんとネクラはぽかんとしながらそれを眺め、那央は静かに顔を背けた。

そしてカレンさんは、ものの2分ほどで「でーきた」とさっき以上に恐ろしいことを言う。



「こ、これは……もんじゃ焼きですか?」

「何言ってるの、お好み焼きよぉ」



やっぱりそうなんですね。

このぐちゃぐちゃ加減はもんじゃ焼きだと思いたかったけど、やっぱりお好み焼きなんですね。



「ちょっと見た目はアレだけど、問題は味よね! はい、どーぞ♪」



でろんとソレを盛り付けられたお皿を差し出され、言葉を失くす。

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