コイツ、俺の嫁候補。
夏休み明け、那央は明るかった髪の毛を黒く染め、さらにショートヘアにして登場した。
イメチェンしても相変わらずカッコいい。
すっかり好青年らしくなって、なんだかちょっと凪さんに似てきたかも。
そんな那央の決戦日はすぐ間近に迫っていた。
一次試験は9月下旬。
その合否は一週間ほどでわかるらしい。
試験二日前、あたしと那央が足を運んだのは近くの神社。
ここまで来たら後は神頼みしかない!と、両手を合わせて、“絶対合格しますように”と何度も繰り返し祈った。
そして、前日から試験会場へと向かう那央を見送ったのだった。
──その甲斐もあったのか。
「縁! 今家から連絡あって、一次合格の通知来てたって」
「ほんとに!?」
10月初旬、無事一次試験を合格したと、放課後あたしの教室に押しかけて真っ先に報告してくれた。
あたしは人目も気にせず、飛び跳ねて喜ぶ。