コイツ、俺の嫁候補。

夏休み明け、那央は明るかった髪の毛を黒く染め、さらにショートヘアにして登場した。

イメチェンしても相変わらずカッコいい。

すっかり好青年らしくなって、なんだかちょっと凪さんに似てきたかも。



そんな那央の決戦日はすぐ間近に迫っていた。

一次試験は9月下旬。

その合否は一週間ほどでわかるらしい。


試験二日前、あたしと那央が足を運んだのは近くの神社。

ここまで来たら後は神頼みしかない!と、両手を合わせて、“絶対合格しますように”と何度も繰り返し祈った。

そして、前日から試験会場へと向かう那央を見送ったのだった。



──その甲斐もあったのか。



「縁! 今家から連絡あって、一次合格の通知来てたって」

「ほんとに!?」



10月初旬、無事一次試験を合格したと、放課後あたしの教室に押しかけて真っ先に報告してくれた。

あたしは人目も気にせず、飛び跳ねて喜ぶ。

< 267 / 314 >

この作品をシェア

pagetop