コイツ、俺の嫁候補。
「やったね、那央! すごいよ!」

「まぁ、まだ一次だからな。この次でガッツリ落とされるんだろうから」

「それでも確実に夢に近付いてるじゃん。すごいことだよ!」



那央ももちろん喜んでいるけど落ち着いていて、あたしの方が興奮していた。


那央が一歩ずつ夢に近付いていくのは、本当に嬉しい。

でもそれは、同時に遠恋のスタートにも近付いているということ。

複雑な想いが胸の中を駆け巡る。



そのまま一緒に帰ることにしたあたし達は、おなじみの河原に向かって歩いた。

あたしは自転車を押しているせいで、手を繋げないのが少し残念だけど。


やっぱり那央は、遠恋のことについては何も触れないけど、本当はどう思ってるんだろう……。

そんな想いを巡らせていた時。



「あ」



突然何かに気付いたように立ち止まった那央の視線を追うと、河川敷に見たことのある人影が。

あれは……華ちゃんと美雨ちゃん?

二人で遊んでるみたい。

< 268 / 314 >

この作品をシェア

pagetop