コイツ、俺の嫁候補。
でもこの状況で食べないわけにいかない。

目をキラキラさせているカレンさんと、じっとあたしを見据えている藤丸先輩の眼力が、拒否なんて許してくれそうにないし。

えぇい、一思いに食べてやれ!と、思い切ってそれをパクッと口の中に入れた。


が、しかし。見た目通り、やっぱりそれはまだ生で。



「まっず……!!」



本音を止めることが出来ず、慌てて口を抑える。

そんなあたしを“ガーン”という効果音がついたような顔で見つめるカレンさんと、眉間のシワを濃くする藤丸先輩。

隣では“やっちまった”とでも言いたげに、那央が額に手をあてていた。


ヤバいヤバい! 今度このホットプレートで焼かれるのはあたしかもしれない!!

危機を感じていると、予想に反してカレンさんはガックリと肩を落とす。



「やっぱり……私には料理の才能がないんだわ」



生気が抜けたように呟くカレンさん。

どうしよう。なんだかものすごく罪悪感が……。



「あ……あの! これ、もうちょっと粉足して焼いてみたらどうですかね」



なんとかフォローしようと明るく言うと、皆の視線が集まる。

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