コイツ、俺の嫁候補。
那央と言い合いながらも華ちゃんは嬉しそう。

彼女は永遠のライバルになりそうだなぁ……。


そんなことを思いながら微笑ましく兄妹を見ていると、道端に車が停まる音がして何気なく振り向いた。すると。



「あーやっぱり! 先輩達だ!」

「え……奈々ちゃん!?」



車の助手席から顔を覗かせたのは、あたし達と同じく制服姿の奈々ちゃんだった。



「あれ、奈々ちゃんじゃん」

「こんにちは」



奈々ちゃんが那央にぺこりと頭を下げると、運転席にいる人がチラリと見えて、あたしは目を見開く。



「ひ、樋田先輩っ!?」

「久しぶり、牧野さん」



ひらりと軽く手を振るのは、相変わらず美しい王子様スマイルを浮かべる樋田先輩。

な、懐かしい!

こちらも放課後デート中? てか車!



「先輩、車買ったんですか!?」

「うん、中古だけどね。こうやって奈々の送迎も出来るし」



きゃー“奈々”だって!

ニンマリしながら奈々ちゃんを見ると、やっぱり頬を桃色に染めていた。



「いっすねー。俺も早く免許取ろ」

「この辺は車あった方が何かと便利だからね」



いつの間にか先輩と那央も普通に喋るようになっていて、たわいない会話をしていた。

< 270 / 314 >

この作品をシェア

pagetop