コイツ、俺の嫁候補。
その時、あたしのバッグの中でスマホが震え出す。



「……お母さんからだ」



あれ、もう仕事終わったのかな?

今日は遅番じゃなかったっけ……。

不思議に思いつつ、通話ボタンをタップする。



「もしもし? どうしたの?」

『縁!? 今、健司くんから連絡があって──』



お母さんの焦りを感じる声に、急激に不安が掻き立てられる。



『おばあちゃんが、肺炎を起こして深澤病院に運ばれたって』

「肺炎──!?」

『でも安心して、今は落ち着いてるらしいの。ただ、これでもう入院になるから』



スマホを耳にあてたまま固まるあたしに、笑って話していた皆も注目する。



『お母さんは病院に行ってくるけど、縁は家で待ってなさい。お見舞いはまた明日にでも行けばいいわ』

「おばあちゃん……大丈夫なんだよね? 治れば退院出来るよね!?」



祈るような気持ちでお母さんに問い掛ける。

けれど、返ってきたのは重々しい声だった。

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