コイツ、俺の嫁候補。
「病院どこだって?」



あたし達にそう声を掛けてくれたのは、いつの間にか車から降りていた樋田先輩。



「たしか、深澤病院って……」

「深澤か。ここからじゃ遠いから乗っていきな、送るよ」

「先輩……」



先輩も奈々ちゃんも、心配そうに、でも頼もしい顔であたしを見つめる。

なんだか少し勇気づけられた気がした。


お言葉に甘えて車に乗せてもらうことにすると、華ちゃん達がこちらに駆け寄ってきた。



「どうしたの? 何かあった?」



いつになく心配そうにあたしを見る華ちゃん。



「ちょっと、ね……あたしのおばあちゃんが──」

「華!」



あたしの言葉を遮り、那央が華ちゃんに向かって突然こんなことを言い出す。



「その花かんむり貸せ」

「は?」

「悪い、急いでんだ」

「ちょっと!?」



華ちゃんの手から完成したかんむりを取り上げた那央は、道端に咲いているシロツメクサを摘み取る。

何? 突然どうしたの?

< 274 / 314 >

この作品をシェア

pagetop