コイツ、俺の嫁候補。
材料を用意していたらしい隣のテーブルを見ると、野菜の切れ端や粉が散乱している。

うわ、とここでも声を上げそうになるのを必死で堪え、その中からお好み焼き粉をお借りする。


「ちょっといいですか?」と一応断りを入れてから、カレンさんが持っていたボウルに粉を投入。

ぐるぐると混ぜて少し固くなったところで、再びホットプレートにその生地を垂らした。

温度を少し下げ、下がキツネ色になるまで待ち、フライ返しでひょいっとひっくり返すと。



「わぁ、きれーい!」

「なんか急激に腹が減るな」



程よい焦げ目がついた、満月みたいなお好み焼きが出来て、奈々ちゃんと那央が声を上げた。



「さっきのはちょっと粉と焼く時間が足りなかっただけなんですよ。だから、決してカレンさんに才能がないわけじゃ……」



じっとあたしを見つめるカレンさんにギクッとする。

フォローしたつもりだったけど、勝手にやって逆に機嫌を損ねたかも!?

無言で近付いてくるカレンさんに冷や汗をかいていると。



「素晴らしいわっ!!」

「え?」



彼女はあたしの手を取り、両手でギュッと握りしめた。

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