コイツ、俺の嫁候補。

 *


「へぇー、オムライスってそうやって作るんだ」

「ひゃぁ!!」



卵液が広がるフライパンを操っている最中、突然後ろからひょいっと顔を覗かせる那央に過剰反応するあたし。

おかげでフライパン落としそうになったよ……!



「あ、わり。驚かせて」

「や、ううん、だだ大丈夫……!」



ぎこちない笑顔を作るあたしは、内心ドキドキしまくっていた。

もう~意識し過ぎだって!



土曜日の今日、お母さんには那央が家に来るとは言ってないにもかかわらず、

『縁、お母さんが前言ったこと覚えてるわよね?』

と、出がけに意味ありげな顔で釘を刺され、ギクッとしてしまった。


お母さんが言ってるのはたぶん、“避妊しなさい”っていつかのあの言葉だろう。

あんなこと言うから余計変に緊張しちゃうんだよ~……!


でも那央はいたって普通だし、あんなコトやこんなコトしようだなんてことは考えていないように見える。

あたしだけ意識してたら、それはそれで虚しいんだけどな……。

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