コイツ、俺の嫁候補。
悶々としながらも作ったオムライスは、ちょっと不格好だけどまあまあな出来。



「はい、出来たよ」

「すげぇ。レストランかここは」

「そんなに上手じゃないよ」



リビングで待つ那央の前にオムライスを運ぶと、大袈裟なくらい喜んでくれる。

二人で並んでソファーに座り、さっそく食べ始めた。


那央は15分くらいで完食してしまい、満足してくれたようで一安心。

お腹が満たされると不思議と緊張もほぐれて、いつものように笑って話していた。

那央がテレビを見てくつろいでる間に片付けちゃおう。



「後でお茶入れるね。何がいいー? あ、デザートもあるよ」



食器を洗いながら、リビングにいる那央に問い掛ける。

この間おじさんがくれたフルーツジュレがあるんだった……と考えていると。



「それより欲しいものがあるんだけど」

「きゃ──!」



突然耳元に響いた声と、背後から腰に回される腕。

ゆ、油断してた……!

硬直するあたしの代わりに、那央が流しっぱなしの水をきゅっと止めて言う。



「縁以上に甘いデザートなんてないから」

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