コイツ、俺の嫁候補。
「すぐに問題点を見付けて作り直してしまうなんて! すごいわ縁ちゃん!!」



いやいや、たかがお好み焼きですから……と言いたいところだけど、それこそ嫌味になるから黙っておこう。



「……たかがお好み焼きで騒ぎすぎ」



おーいネクラ! せっかくあたしが黙ってたのに言うなよ!

案の定「あぁん?」と低い声を出し、ピクリと眉を上げたカレンさんは、表情を一変させてネクラに近寄っていく。

そして、身の危険を感じたらしく目を見張るネクラの頬を片手でぶにゅっと掴み、顔を近付けてこう言った。



「一年生の分際でこの私に生意気なこと言うんじゃないの。言葉に気をつけないと、あんたの眼鏡叩き割ってこの口に突っ込んでやるわよ」



怖っ!!

カレンさんって、肉体的じゃなく精神的苦痛を与えるタイプだ、絶対……。

青ざめるネクラを口元を引きつらせながら眺めていると、あたしに藤丸先輩が近付いて小声で囁く。



「……カレン様は比較的女子には優しいが、怒らせるとああなるから気をつけろ。そしてこのことは口外しないように。もちろん、カレン様が料理下手ということもな」

「は、はい」



重々承知いたしました……。

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