コイツ、俺の嫁候補。
虫歯になりそうなほど甘いフレーズで、あたしの脳みそまで溶かされそうになる。

ゆっくり振り向くと、すぐに唇が塞がれた。

いつもよりとろけるようなキスで、簡単に理性が崩されていく。


唇が離されると、あたしは耳まで熱くなるのを実感しながらぽつりと呟く。



「……今日は、誰にも邪魔されないよ」

「そうだろうと思った。縁の方から家においで、なんて言ってきたの初めてだし」



バ、バレてた……。

さらに恥ずかしくなって俯くと、顎を持ち上げられて、オトコの目をした那央と視線が絡み合う。



「それはOKって意味に取るけどいいの?」



意を決してこくりと頷いたのに、那央は質問をやめない。



「きっと痛いよ?」

「う、うん……」

「縁のハジメテ、全部俺がもらっていいわけ?」

「そんなに確認しなくても大丈夫だから!」



思わず声を荒げると、ヤツはおかしそうにククッと笑う。まったくもう。



「……那央だからいいの。那央にしかあげない」



小さな声でそう言うと、那央のイタズラな笑みはとっても優しい微笑みに変わった。

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