コイツ、俺の嫁候補。
先日降った大雪が、いまだに街を白く彩っている2月の下旬。
あたしは片霧家にお邪魔していた。
「ねー、那央にぃは何やってんの?」
「友達から呼び出されたって、渋々出掛けていきましたよ」
居間のテーブルにオードブルを運びながら、不満げな華ちゃんと宥める遼くん。
「せっかく二人の合格祝いだっていうのに、主役が一人足りないんじゃ……ねぇ?縁さん」
「たぶんすぐ帰ってくるよ」
頬を膨らませる美央ちゃんに、あたしは笑顔を返す。
今日は合格祝いをしてくれるって言うから、あたしもお呼ばれしたんだ。
そう。このあたしも、めでたく一発で合格を決めたのです!
4月からは大学生、そして未知なる寮生活が待っている。
「あいつ、いいのかなー縁ちゃんのこと野放しにしちゃって。今日は珍しく俺がいるのに」
キッチンから出てきた凪さんは、慣れた手つきであたしの肩に腕を回した。
彼の突然のスキンシップにはやっぱり慣れず、あたしは身体を強ばらせる。