コイツ、俺の嫁候補。

 *


あっという間に迎えた卒業式。

あたしは鮮やかな水色にピンクの花柄の袴に身を包んでいた。

去年はカレンさん達に花束を渡したけど、今度はあたし達が受け取る番。



「先輩、卒業おめでとうございます!」

「わ、ありがとう!」



後輩達と一緒に花束を差し出す奈々ちゃんは、切なげに眉を下げている。



「もうすっごく寂しいです~……私に部長なんて務まるのかも自信ないし」

「大丈夫、あたしにだって出来たんだから! 頼りになる後輩もたくさんいるし、ネクラと頑張ってよ」

「なんとかやってみます~」



だいぶ活気付いたカセイクラブの次期部長はもちろん奈々ちゃん。

陸と海とは最後まで言い争いが絶えなかったけど、なんだかんだで楽しかった。

一応部長だったけど、あたしは本当に特別なことはしていない。

皆が協力してくれたから、一年間やり切れたんだと思う。



「また会おうね。樋田先輩にもよろしく」

「はい! 先輩達もお幸せに」



お互いの幸せな未来を願って、あたし達は笑い合った。

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