コイツ、俺の嫁候補。
県内の短大に合格した舞花とも、これでしばしのお別れ。



「これから縁がいないなんて、張り合いなくなっちゃうな」

「あたしもだよ。知らない土地で新生活始めるなんて不安ばっかりだし……」



卒業証書を手に、外から校舎を眺めるあたし達。

きっと不安を抱えているのは、新生活を始める皆が同じなんだろう。



「でも、いつまでも甘えてちゃいけないもんね。あえて一人になって、頑張ってみる」



もっと成長して、強い人間になるんだ。

あたしも誰かを支えて、守っていけるように。



「もし辛くなったらいつでも帰っておいで。すぐ飛んでくから」

「はは、お母さんみたい」



思わず笑ってしまったけど、舞花は微笑みながらも瞳は真剣だった。



「本当に、私はずっといつまでも縁の味方だし、親友だからね」

「……ありがと舞花。ほんと、ありがとう」



口下手なあたしは、そんな単純な5文字でしか伝えられないけど、心から感謝してるよ。


こんなあたしと友達でいてくれて、寂しがってくれて、

今も一緒に泣いてくれて、本当にありがとう──。


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