コイツ、俺の嫁候補。
「男ばっかで溜まるだろうけど、間違っても変な方向に走るなよ」

「走るかバカ!」



楽しそうに笑った凪さんは手を振る美雨ちゃんを抱っこし、あたし達に気を遣ってか、両親二人と隣の駅ビルの方へ向かっていった。

弟妹達に向き直った那央は、翔くん達の頭をわしゃわしゃと撫でる。



「元気でな。お前らもちゃんと勉強しろよ」

「うん……」

「そんなしんみりすんなって。ずっと会えないわけじゃないんだから」



明るく笑う那央だけど、皆の表情はやっぱり晴れない。

すると、那央は一つ息を吐いてこんなことを言う。



「俺が何で警察官になろうと思ったかわかるか?」



唐突な質問に、キョトンとする皆。もちろんあたしも。



「お前らが誰かにいじめられたら、そういう悪いことする奴から守ってやりたいって思ったのがきっかけだった。ただそれだけで目指してきたけど……もう一つ、守りたいものが出来たんだよ。

──それが、縁」



綺麗な瞳に見据えられて、トクンと胸が波打つ。

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