コイツ、俺の嫁候補。
「男みたいに強くて逞しいのかと思いきや、全然そんなことなくて。俺がいなきゃダメダメだったもんな」

「……うるさいよ」



まぁ、その通りなんだけど。

むくれるあたしにクスッと笑いかけると、那央は皆を見回す。



「そのうち、この大好きな人と、大切な人達が暮らす街や生活を守っていきたいって、でっかいこと思えるようになったんだ。
そのために、俺はどんなに辛くても頑張るから、皆も頑張れよ」



凛々しい表情で、自分の信念を貫き、あたし達を励ます那央に胸が熱くなる。

人として、男として、本当にカッコいいと思った。


翔くんも華ちゃんも、那央の言葉を受け止めたようにぐしぐしと涙を拭う。

そんな二人に微笑みかけた美央ちゃんが、ある包みを差し出した。



「那央、これ私達からの餞別」

「餞別?」



首をかしげる那央は、B5サイズくらいの、厚みがあるそれを不思議そうに眺める。



「何これ。開けていーの?」

「どうぞ」



一度バッグを置いて包装紙を開く様子に、あたしはドキドキと胸を踊らせる。

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