コイツ、俺の嫁候補。
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その週の日曜日、あたしはお母さんと市内の老人ホームに来ていた。
ここには母方の祖母が入所していて、月に何回か面会しに出向くのだ。
「縁~! 元気だったかい?」
「うん! おばあちゃんも相変わらず元気そうだね」
日当たりのいい談話ルームで、杖を片手にひなたぼっこしていたおばあちゃんは、あたしに向日葵みたいな笑顔を見せた。
そんなおばあちゃんをまじまじと見ながら、お母さんが言う。
「お母さん、髪の毛切ったの?」
「そうそう、この間美容師さんが来てくれてさ、綺麗にしてもらったのよ。まだまだイケるだろ~?」
頬に手をあてながら、嬉しそうに整えられた白髪を自慢するおばあちゃんは、なんだか可愛くて微笑ましい。
まだあたしが幼い頃におじいちゃんが他界した後、ずっと一人で暮らしていたおばあちゃんだけど、足を悪くしてから老人ホームに入所することになった。
とっても元気だけれど、おばあちゃんはもう七十歳。
一人暮らしをしているのは心配だとお母さんが言っていたから、ここに入れたのは逆によかったのかもしれない。
おばあちゃんもお仲間とここの生活を楽しんでるみたいだしね。