コイツ、俺の嫁候補。
あたしよりおばあちゃんの方が女子力あるかも……なんて思っていると。



「先輩以外にいい人いないのかい」



と言われ、何故かそこで那央の顔が思い浮かぶ。

何であんたが出てくるのよー!とつっこみつつも、ヤツは話のネタとしては最高だ。



「そういえば、最近面白い人と友達になってね……」



かくかくしかじか。大家族の次男と知り合いになった経緯を話すと、おばあちゃんは興味津々で聞いていた。



「でね、あたしに『家事手伝いに来い』とか言うんだよ? もう困っちゃうでしょー」

「行ってあげればいいじゃないかぁ。縁は料理も得意なんだし、それをきっかけにその次男くんのハートもゲットしちゃいな!」

「いや、別に好きとかじゃないし……」

「そこから恋に発展することもあるんだよ! 縁は喧嘩っ早いくせにそういうところは消極的なんだから~」



口を尖らせ、トントンと杖で床を突くおばあちゃんに、あたしは肩をすぼめる。

まぁ、その通りなんですけどね。



「私は早く縁と恋バナがしたいんだよ。だから頑張っとくれ」

「は、はは……」



気だけは若いおばあちゃんに苦笑いするあたしの頭の中には、樋田先輩と那央が交互に登場するのだった。


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