コイツ、俺の嫁候補。
存在感がまったくなかったネクラも静かに調理室を出ていき、残った奈々ちゃんは心配そうな顔をしている。



「大丈夫ですかね、弟さん」

「んー、とりあえず次女が看てるから大丈夫だと思う。だから風呂上がりに裸で走り回るなっつったのに……ったく」



ぶつぶつ言いながらメールを返信する那央に笑いながら、奈々ちゃんはあたし達にぺこりと頭を下げて帰っていった。

手を振るあたしに、那央がバッグを肩に掛けながら言う。



「なぁ縁、おかゆってどーやって作ったっけ?」

「炊いたご飯に水入れて、柔らかくなるまで煮るだけだよ」

「ご飯は何グラム?」

「え? それは弟くんが食べられるくらいの量で……」

「それに対して水は?」

「水は……適当に」

「適当ってどんくらいよ」



……めんどくさっ!!



「も、もういいよ、おかゆくらいあたしが作ってあげる!」

「おぉマジか! やっぱり縁さん頼りになるわー」

「今日だけ特別だからね」



最後のあたしの声が聞こえているのかいないのか、肩にぽんっと手を置く那央はニコニコ顔だ。

仕方ない……今日だけ大家族孝行してやるわ。

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