コイツ、俺の嫁候補。
そうしてやってきた片霧家は。
改めて真正面から見てみると、あたしのおばあちゃんの家より古そうな佇まいはとっても迫力があった。
もう少しでお化け屋敷とか言われるんじゃないだろうか……。
ぼけっと口を開けてその家を見上げていると、入る前に兄弟の“予習”をさせられる。
「今家にいるのは中1の次女と小4の三男、あと風邪っぴきの小1の四男だけだから。一番チビの妹はまだ保育園だし。あと、いつもなら中3の長女が色々やってくれんだけど、今日あいつ生徒会だかなんだかで遅くなるらしいんだよね」
「う、うん? ワンモアプリーズ……」
「まーいいや。会えば自然と覚えられるよ」
マイペースだなぁ、おい。
兄弟構成で頭がこんがらがっているあたしに構わず、那央は「ただいまー」と言ってさっさと玄関へ入っていく。
それに続いて、脱ぎ散らかされた靴が散乱した玄関を上がると、右側の廊下からバタバタと誰かが走ってきた。
「おかえり那央にぃー! ……あれっ、誰?」
セーラー服を着たショートヘアの女子は、あたしに気付くとキョトンとした。