コイツ、俺の嫁候補。
「すみません、失礼な姉で」

「うぎゃ!?」



突然真後ろから話し掛けられ、思わず変な声を上げてしまった。

バッと振り返り、目線を下へ向けると、眼鏡を掛けた秀才そうな男の子があたしを見上げている。


び、びっくりした!!

えっと、この子は何男だって言ってたっけ?



「はじめまして、三男の片霧遼(リョウ)です。小学4年生、血液型はAB、好きな食べ物は肉まんの皮です」

「あ、は、はじめまして……!」



遼くんはあたしが知りたかった以上の情報を自ら教えてくれた。

肉まんの皮にツッコミを入れたいところだけど、めちゃくちゃ真面目な顔をしてるから、ここはあえて触れないでおこう。


遼くんは廊下の先を見て人がいないことを確認すると、少し小声になってこう言った。



「華ちゃんは重度のブラコンなんです」

「えっ、ブラコン!?」

「はい。那央兄ちゃんのことが大好きなので、縁さんを敵視しているだけなんです。だから気にしないでくださいね」

「は、はい……」



そうなのか……あぁ怖い。疑われないようにしよう。

でも、あたしを気遣ってくれる遼くんに少しホッとした。

彼の口調はほぼ棒読みだけど。

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