コイツ、俺の嫁候補。
……そういうもんなの?

これを男心っていうんだろうか。

そんなものはさっぱりわからないあたしには、料理してる姿の何がいいのかいまいちピンと来ない。



「何が新鮮なのよ。妹さんだって料理してるんでしょ」

「妹と縁じゃ全然違うから」



やっぱりよくわかんない……。

でも、那央がなんだか優しい瞳で見てくるから、少し心の奥がむず痒くなる感じがした。



卵がゆはすぐに完成。翔くんが「おいしー」と言って食べる姿を、あたしは台所から眺めてホッとしていた。

華ちゃんは洗濯物を畳み、遼くんは宿題をしている。

それぞれ別のことをしているけれど、皆が同じ部屋に集まっているのが、仲の良さを表しているような気がした。

でも、やっぱり兄弟が多いってのは大変だよね……。



「那央、今日の夕飯は誰が用意するの?」

「順番で言えば長女だけど、遅くなりそうだったら俺が作るよ」



棚の引き出しを漁って、翔くんに薬を渡した那央があたしの問いに答えると、華ちゃんがちょっぴり眉をひそめる。



「もしかしてまたカレー?」

「文句あったら華も焼きそば以外の料理を作れるようになれ」



ぷーと頬を膨らませる華ちゃん……彼女も料理はあんまり得意じゃないんだね。

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